東大阪市にて、電柱IN工法を用いた電柱の元位置建替え工事を実施しました。
対象となった電柱は住宅の構造物に極めて近接して建柱されており、抜柱が非常に困難な状況にありました。
さらに、地際周辺の構造物についても、地権者様のご意向により損傷を与えず現状を保持することが条件とされていたため、通常の工法では対応が難しい工事となりました。

特殊な機械を使った切断方法

このような条件下では、弊社が保有する「柱状構造物切断装置」を用いて既設電柱を切断し、その内部に細径の鋼管柱を建て込むことで対応しています。

重量フレームを地面にしっかり固定し、その上に切断機を設置します。


これにより装置全体が安定し、本体がブレることなく水平を保った切断が可能となります。
さらに、刃を前後左右に振りながら切り進めていく構造のため、狭い現場条件下でも効率的かつ確実に作業を行うことができます。

このような作業空間が限られた状況では、薄いジュラルミンプレートを隙間に挿入し、切断時に刃先が構造物に触れないよう保護しながら作業を行います。

切断中はクレーン車で上方に適度な吊り上げテンションをかけながら作業を進めるため、オペレーターとの連携が欠かせません。

コア開削による内径拡幅と鋼管柱建込み

今回の電柱IN工事では、事前調査の段階で電柱内部の径が小さいことを確認していました。


切断後もやはり内径が不足しており、設計上必要な鋼管柱をそのまま挿入することはできません。そこで、専用のコア開削機を用いて電柱内部を拡幅し、鋼管柱の寸法に適合するよう加工を行いました。

コア開削後は内部の深度を確認し、鋼管柱が適正な根入れ深さとなるまで
無収縮モルタルを充填して硬化させます。

この無収縮モルタルには夏用と冬用があり、季節に応じて硬化速度が異なるため、
適切な選定が重要となります。

コア開削した既設電柱に鋼管柱を建て込み、速乾性の無収縮モルタルを充填・硬化させることで、鋼管柱を確実に固定しました。
今回はベースコンクリートと既設電柱が接触していたため、電柱を地際まで破砕せず、切断面の高さで固定しています。

工事の流れとご近所への配慮

今回の工事では、架空線の移架から電柱切断、コア開削、建柱、モルタル固定までの一連の工程を、9時から17時の間に完了させる工程で実施しました。

閑静な住宅地での工事であったため、近隣住民の皆さまと調整した時間内に収めることが必須条件でしたが、建柱班との連携も良好で、作業は円滑に進行しました。

工事を終えて

今回の工事では、狭小な作業空間や構造物への配慮といった制約の中でも、安全性と確実性を最優先に作業を進め、一連の工程を予定どおり完了することができました。
弊社は、電柱IN工法をはじめ特殊条件下での施工にも豊富な経験と実績を有しており、今後も地域の皆さまに安心してお任せいただける施工を提供してまいります。